日本のお茶を栽培する時、その生産者によってアプローチが異なります。
お茶に肥料を与えて、太く太らすか、お茶自らの力と自然環境の栄養に任せてお茶を優しく育てる方法など、大きく三つの別れてお茶の栽培が行われている。
「慣行栽培」
化学合成農薬や化学肥料、化学合成土壌改良剤などを必要に応じて利用している。使用してもよい薬品の種類は法律で定められているが、使用回数の制限はない。旨味中心の消費者嗜好に応じられるため、化学肥料の使用が工夫され増加し、次第に農薬の利用も上昇している。
「有機栽培」
化学肥料や農薬にたよらず、家畜小屋の糞尿(ふんにょう)・敷きわらや堆肥(たいひ)など、動植物質の(=有機)肥料で、安全かつ美味の食糧を作る栽培方法。基本的に有機JAS基準のポジティブリストに準ずる。
「自然栽培」
動植物性由来肥料、有機肥料なども、肥料を一切加えず、植物が自らの生命力で育ち、産地特有の地勢(テロワール)による特徴をより表現できる栽培方法。
施肥による茶味の変化
肥料は主にN—P—Kの三要素に形成される。窒素(N)は葉肥(はごえ)で、植物(特に葉)を大きく柔らかく成長させるために有効。リン酸(P)は実肥(みごえ)で、開花結実を手助けする。カリ(K)は根肥(ねごえ)で、根の発育を進める。
茶の場合、特に窒素を多く使用することが多い。茶樹は土中から窒素を吸い上げると体内でその窒素をアミノ酸の生成のために利用する。このアミノ酸が茶の旨味の元。肥料を通じて茶園土中の窒素分を増加させると、茶樹が吸収できる窒素分が多くなり、生成できるアミノ酸も多くなる。結果、茶の味は旨味が強くなる。

ベルギー人茶人です。武家茶道の一派の遠州流茶道の師範として、日本のお茶文化を伝授。日本茶インストラクターとして自然で香高い最高級の日本茶を世界に伝えている。