茶品種とその登録制度と導入について
日本では1953年に茶の農林登録制度が発足した。1960年代に茶の実用的な挿し木技術が確立され、1970年代に茶園の新・改植で主に品種の挿し木が植えられた。その中でも1975~1980年の静岡県における「在来実生園」から「やぶきた」への大きな転換が見られる。このような動きはやがて全国に普及し、「やぶきた」は今日では全茶園面積の約77%、品種茶園中の約83%を占める大品種になった。現在、農林登録品種は108品種を数える。
品種改良の方法について
茶品種は基本的に試験場で種から研究・改良される。新品種の改良は主に次の6段階で行われる。
①【交配・採種】優良形質を持つ系統の実生株を配合し、採種する。
②【個体選抜】種子を植え育成する。生育後は、微量製茶機で緑茶をつくり官能審査により選抜を行う。
③【苗床選抜】選抜した茶樹からさし穂をとり、栄養繁殖性を調べる。
④【栄養系選抜】得られた挿木苗を植え、生育特徴を調べる。
⑤【地域適応性】主要産地の試験場等で有望品種の地域特性を調べる。
⑥【品種登録】全ての試験に合格した新品種がようやく登録される。
品種の繁殖方法について
品種の繁殖は原則として挿し木で行い、新・改植茶園に苗を植える。
在来実生(みしょう)園とは何か
品種登録制度以前から主流だった茶繁殖方式。自生、もしくは種子から植えられた茶園のこと。品種と違って、原則として茶樹が種子から生育し、茶株毎に特徴(樹勢(じゅせい)・樹姿(じゅし)・収量・生育・葉形等)が微妙に異なる。
品種による茶味の変化
茶品種はそれぞれ独自性がある。品種毎得られる香味や滋味、茶種の生産への向き不向きが分かれる。品種の特長を理解することで、製品になった茶の香滋味の由を推察できる。

ベルギー人茶人です。武家茶道の一派の遠州流茶道の師範として、日本のお茶文化を伝授。日本茶インストラクターとして自然で香高い最高級の日本茶を世界に伝えている。