産地の特徴がお茶の味を左右する
地域の気候や茶園の位置・地勢が茶樹の育成に大きな影響を与える。茶が育った環境を理解すると、茶の滋味や香味の裏付けが容易になる。
茶園環境について主に調べる情報は下に列挙する。
地域環境について
「茶園の気候」温暖な地域は育成が早く、冷涼産地は収穫が遅くなる。その代わり、冷涼な山間地は冬が長く、茶が自然と甘くなる傾向がある。
「茶園周囲の特徴」茶園の近辺に川、森や他農家の茶園などの有無。環境的事情を知ることにより朝露が降りるか、陽射しを塞ぐ樹木が聳え立っているか、農薬の漂流があるかなど、想像が働かされる。
圃場個体の特徴について
「圃場(ほじょう)の面積」は収穫量や、同時に製造可能な茶の量を計ることが出来る 。
「圃場の標高」標高が高い圃場ほど冷涼になる。収穫は遅くなるが、茶は甘くなる。その反面、育ちにくい耐寒性の弱い品種は育成できない。
「圃場の地質」地勢の年代により、土に含まれる微生物や混じった土の種類が異なるので、特に自然栽培の場合、茶の栄養分の蓄積に関係する。
「圃場の土壌」土壌の違いにより通気性や水捌けの良さが異なり、茶樹の育成を抑制したり、促進したりする土質がある。また、土壌の栄養分の捕獲や放出により、茶樹が得る栄養分を大きく左右する。
「圃場の方向と傾斜度」朝日の陽当たりや地温の上昇を推察できるポイント。西向きと東向きとで日照時間が大きく異なる。また、傾斜度は水捌けの良さにも関係している。
「畝(うね)の方向と形」斜面では栄養や水が上下に流れる。縦畝の場合は下山する水が茶畝の根に沿って流れるが、生産者にとって作業の危険を伴う。その反面、横畝の茶株は水流に対して直立するが、生産者にとって、山の斜面に沿って作業ができるため、安全で収穫しやすい形になっている整備方法である。

ベルギー人茶人です。武家茶道の一派の遠州流茶道の師範として、日本のお茶文化を伝授。日本茶インストラクターとして自然で香高い最高級の日本茶を世界に伝えている。