碾茶の製造工程について

碾茶の製造工程

碾茶というのは抹茶の原型である。碾茶を石臼など使って粉末すると抹茶になる。抹茶は基本的に長期保存に向いていないため、碾茶という葉っぱの状態でお茶が保管される。抹茶が必要になった時初めて碾茶を挽き、抹茶が製造される。抹茶は石臼で挽くため、碾茶の製造では茶葉を傷つけずに、乾燥させることだけが行われるよう細心を払う。それから、葉肉の部分意外(葉脈・茎など)を取り除き、挽く時に引っかかる可能性のあるものすべてを排除する。次に碾茶製造の各ステージについて説明する。

栽培・摘採

摘採20日以上前から茶園全体を覆う。最終的な遮光率は最大98%まで図る。その被覆は伝来の本簾被覆か、現代的な棚型二段寒冷紗で行う。年に一回のみ春に収穫するため、収穫直後に翌年に備えて茶樹が台刈りされ地上40cmくらいまで落とされる。1年かけて枝葉を伸ばし、地上1.2㍍程度まで成長する。柔らかな新芽に適度な張りが感じられるころに、しごき摘みで1本1本を丁寧に指で摘採する。

殺青(蒸熱)

生葉の酸化酵素の活性を止めるため、煎茶の製造工程で使用される連続式網胴回転攪拌型蒸機(あみどうかいてんかくはんがたむしき)と同様な機械で茶葉を蒸す。蒸し時間は通常の煎茶よりも些かに短め、20秒程度で蒸し上げる。蒸熱で殺青することによって茶の冴えた色調と覆い香が引き立たされる。抹茶の挽き色を濃くする場合は蒸し時間を長く取る。

冷却拡散

高さ5~7㍍ある「あんどん」という、ネットで覆った冷却用の散茶機で風力を用い、茶葉を内部で吹き上げる。「あんどん」は連続している3~4棟が並び、茶葉が吹き上げられ、降り、次の棟に入り、再び吹き上げられ、全室を通過するまで同じ流れを繰り返す。吹き上げられながら茶葉が冷却され、蒸し葉同士が重なり合わないように拡散され、最後に、碾茶炉の最下段のキャタピラに着地する。この時、茶葉が重なったり、引っ付いたりすると乾燥が不平等になる。

碾茶炉(荒乾燥・本乾燥)

碾茶炉は長さ10㍍程の巨大な煉瓦造りのオーブンである。室内では茶葉が3~5層のキャタピラで搬送され、室内温度170~200℃の熱風で30分程乾燥される。最初は最下部で急速乾燥(荒乾燥)され、次第に最上階に吹き上げられ、順次下に降りる(本乾燥)。特徴的なのは、茶葉が揉まれず、全形を保ちながらただ乾燥されるだけということ。後の粉砕工程で茶葉が粉砕されやすいことを配慮して、敢えて細胞を壊さないように乾燥することが碾茶造りの特色である。

選別

乾燥後の葉の部分はほぼ乾いているが、茎の部分は乾燥が進みにくいため、多くの水分が残っている。このため、つる切りで木茎分離を行い葉部と茎部(葉脈含み、骨と呼ばれる)を分ける。

仕上げ乾燥

茎や葉脈は水分が多いため、再度乾燥させ、さらに葉と骨を風力で分離させる。

碾茶(てんちゃ)(荒茶)の完成

碾茶とは抹茶の原型を言う。抹茶の粉砕以前の茶葉の状態を「碾茶」という。

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