抹茶の製造について

抹茶になるまで:碾茶の仕上げと石臼挽き

抹茶は碾茶を仕上げて、最後に石臼で粉末状にして製造される。この仕上げ工程は普段問屋で行われ、それぞれの茶屋の好みや問屋独自の技法により異なる。仕上げ工程の順序などが異なることがほとんどなので、ここでは一般的に行われる工程を紹介することのみとする。

選別・切断

碾茶の荒茶は茶葉が大きく、茎や葉脈がまだ含まれているため、挽臼での粉砕工程に向けて、茶葉をある程度同じサイズに揃え、挽く時に臼の溝に引っかかる葉脈、茎や硬い葉の部分を取り除く。風力選別、廻し篩をして、茶葉を切断する。切断後は葉肉の部分のみを集め、形は四方形5mm程度の大きさである。

火入れ・乾燥

荒茶では5%ほどだった水分を、さらに乾燥させて3%程度にまで落とす。熱風を当て、熱い鉄板の上で炒るといった方法が一般的。火入れは、茶葉の色沢を向上させ、香りを引き出す。火入れによって生まれる香りの「火香」が特徴的。

合組(ごうぐみ)

合組は生産期や場所の異なるお茶を組み合わせ、味、香り、色のバランスを図って消費地の嗜好や販売価格に合わせて茶を調整配合する。これによって、年間を通して「いつものお茶」の提供が可能になる。抹茶は特に粉末状の出来栄えは色で判断されることが多いので、粉砕以前の茶葉の色に拘る。

石臼挽き

抹茶は粉末状で保存すると空気に対する露出が多くなるため、酸化が起きやすくなり、品質劣化の原因となる。そのため、使用直前まで仕上げ碾茶の状態で保管し、抹茶として出荷する前に石臼で挽く。

碾茶葉を粉砕する際、「茶臼」という挽臼を用る。茶臼は石製で、受け皿付きの下臼と回し手(挽木)が備わった上臼からなっている。下石と上石とも中央に芯木を入れる孔が開き、上石の側部に挽木を差し込む孔がある。その孔に肘状の挽木を差し込み、竹の鞘を被せることで回しやすくしてある。上石の上面の孔から葉茶を投入し、挽木を廻すことで上臼を回して、上石と下石の摩擦で抹茶が挽かれる。下石と上石に精緻な目が切られていることによって茶葉が徐々に砕かれ、外へ押し出される。円周部分に目がない一部もあるため、外へ押し出される直前に茶が今少し細かく粉砕され、受け皿に落ちる。

現代では手動ではなく、機械によって20℃前後の室温を保った部屋で石臼が巡回されるが、上臼と下臼の摩擦によって臼内の温度は約50℃まで上昇する。温度が上昇しすぎると抹茶の質が落ちる可能性があるため、手動と同じ速度で臼を回さなければならない。一つの臼は一時間で約40gの抹茶を生産できる。

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