番茶の種類と魅力について

日本の番茶

番茶は日本全国で馴染みのあるお茶の一種だが、煎茶や和紅茶と違って、番茶は多種多様で、必ずしも同じ定義や製造方法によって作られているものではない。地域が違えば、「番茶」の名前で連想される茶種が人それぞれである。全く違うものを指す場合も多い。他の茶種の定義がはっきりしている反面、番茶は「その他」というカテゴリーとして扱われている気もしないではない。ここでそのおおまかな概要と番茶の多様性を紹介する。

番茶の一般的なイメージ

  • 日常的に飲むお茶
  • 安いお茶

番茶の種類と定義

摘採期による番茶

「1番茶(春先)」「2番茶(夏)」「3番茶(秋)」、これらの三期は茶の収穫の本番茶期。本番の間にも茶樹の表面を揃えるために整枝剪定を行う。整枝剪定の時に切り取って入手した葉っぱや枝を番茶の製造に使用した時、「番外茶」の意味を持つ。

晩茶の表記について

「晩」と言う字を用いて表記する際は、ほとんどの場合、茶を摘んだ時期や季節が「晩い(おそい)」ことを表している。例えば徳島県で製造される阿波晩茶の場合、収穫期が真夏の9月である。

秋冬番茶

冬前(秋)もしくは真冬に行った整枝で入手した茶葉を使用。普段の茶期よりはるかに早い時期に収穫した茶葉を使用することになるので、糖が多く、カテキンやカフェインがほとんど皆無である。例えば、2月に収穫される赤ちゃん番茶はその一種である。

出物茶

本番の摘採期外で集めた茶葉で製造される番茶に並んで、製造工程や仕上げ工程で選別・篩い分けされた「出物」を用いて造られる出物茶がある。煎茶や玉露の製造工程で良いお茶にならないと判断されて取り除かれた「頭(あたま)」という大きな茶葉などを使用した番茶など。ある意味一般的なお茶の製造ラインから外され、ゴミになるべきものをリサイクルしたようなお茶を指す。

後発酵茶

「晩茶」にも見られるが、摘採・製造を通して、外部の細菌を持ち込み発酵を促進させたお茶を言う。碁石茶がその一例である。

番茶の魅力

  • 庶民のお茶であること。
  • 地域性があり、地域の文化風俗が滲んでいるお茶である。
  • 露地栽培(直射日光で炉端で植えられた茶株)が多い。普段、販売用に大量生産されているというよりは、現地の人々に家庭用に栽培・製造されていることが多い。
  • そのため、自然栽培のお茶である。
  • 個人用のお茶であるため、大型の機械の使用はできず、ほとんど手作業で製造されている。
  • 特徴のある珍しいお茶で、中々手に入らない幻のお茶である。

魅力のポイント①

日本の都市化とともに若者が田舎を離れ、田舎の庶民の文化が年寄りとともに消えていく傾向にある。そのため、その伝統を継承する努力をすべき時期は「今」に他ならない。

魅力のポイント②

番茶の文化が庶民の文化の重要な要素だと考えれば、番茶を通じて、地域ごとの風習や風俗を窺い知ることができるのではないか。そうすると、番茶の文化こそが日本茶文化として守るべきものなのではないかと考える。

魅力のポイント③

地域によって「番茶」と言えば、認識されるものが異なる。いくつかの事例を挙げると、静岡で番茶と言えば、京都で言う「青柳」が出される。京都で番茶と言えば、燻製の強い香りの「京番茶」が出される。それから、「茎ほうじ茶」として認識される棒茶が石川県では番茶扱いされている。

「番茶」と言うものは非常に定義しにくいが、一般的なイメージとして「普段使い」で「日常的に飲む」お茶としての認識が高い。そして、各地域において、生活に合っているものや、環境的に手に入りやすい・製造しやすいものになるので、番茶は多種多様である。

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